殺シ屋鬼司令II

読書と研究について書いてきました。最近は万年筆で書く快感にひたっています。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

場合わけの思考

話は受験の頃です。
なんかいろいろ試験問題があるけれど、どれも考えるべきは場合わけだけだ、と思いました。その先は、教科書に載っているもろもろの手法が、適切に料理してくれます。実験の組み立て方というのも、場合わけにすぎません。
ドラゴン桜の連載を毎週木曜日にコンビニで読んでいます。いま、ちょうど2次試験です。自分の時を懐かしく思い出しています。今でも思い出すのは数学です。第2問、積分方程式、パッと見に超複雑なその式を見た瞬間、頭の中に

方程式には変数と定数がある

という天啓がありました。ああ、そうか、と心の中で呟くと、問題はするするとほどけました。次の問題は、3階ぐらい微分しました。導関数というのもあれは場合わけのための根拠となるものです。試験が終わって東京を離れ、次の日かその次か、数学が得意と自認する知人*1が「受験数学では2階以上の微分はやらないんだよ! これはたいへんなことなんだ!」と騒いでいました。私には何のことかよくわかりませんでした。
「誰がそんなことを言った。」
物理も英語も化学も国語もおぼえていません。
それ以上に、今でも思い出すのは、試験初日、朝のことです。当時、大田区荒川沿いに、新婚の従兄夫妻が住んでいたので、私は、たしか3泊させてもらいました。さあいよいよ試験であるぞと朝早く目覚めた私を、従兄が、荒川の土手を散歩に連れて行ってくれました。
霞のかかった対岸の、朝陽を受けてまぶしく輝く風景が見えました。美しかった。京都で試験を受けた友人は「東京は汚いから行きたくない……」と言っていました。私もそんなもんかな、と思っていました。朝の荒川はそうしたすべてのイメージを吹き飛ばしました。私は「ワーキング・ガール」という映画が好きでした。シガーニーウィーバーとハリソンフォードが脇役であるという、ある意味すごい映画でした。その映画のテーマ曲がとても好きでした。Let the river run, と言いました。映画は現代のビジネスピーポーのお話ですが、テーマ曲はじつにキリスト教的なモチーフを抱いていました:「さあみんな、この新しいイェルサレムへ!」と。そんな、信仰や祈りさえも思わせる風景を、東京で見出しました。私の東京の原風景でした。
以後上京して今7年目になりました。水も臭いし、人も多いし、日曜午後の池袋ではいつも精神がおかしくなりそうだけれど、私はとても東京が好きです。

*1:この人は別の大学を受けていました。