殺シ屋鬼司令II

読書と研究について書いてきました。最近は万年筆で書く快感にひたっています。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

交尾は、ストレスなんだ!

卒研生が、ラボゼミでの論文紹介を担当し、発表しました。
Priest et al. 2007 Mating-induced recombination in fruit flies. Evolution 61: 160-167.
まだ論文を読みなれていない、選びなれていないだけずいぶんと苦労してはいましたが、ちょっと聞いてみるとなかなか面白い話でした。
基本的に有性生殖というのは、外界の環境の変化、つまり個体にかかるストレスへの応答であるという認識があります。有性生殖の結果、染色体の組換えによって(この辺の詳細な説明は略)ストレスに強い遺伝子セットをそろえることができます。実際に、研究室の実験においても、温度やらなんやらのストレスを与えると、組換え率が上昇するということです。
そんなストレスのひとつに、個体の年齢というのがあるのだそうで、最初(第一実験)、この論文の著者らは、年齢別に、組換え率を比較しました。実験の詳細は省きます。第一実験の結果、年齢が上がると確かに組換え率は高くなるということが判明した一方、どうやらハエの交尾からの期間というのも組換え率に影響を及ぼしているらしいということもわかりました。
で、第二実験で、それはもう交尾を頻繁にさせてみたところ、やっぱり組換え率は上昇しているのである、と。
といった発表をラボメンバーで聞きながら、みんな唸りながら、質問しながら、時間が過ぎて行ったところで、先輩がふと発言しました。

  1. ストレスによって組換え率が上昇する。
  2. 交尾によって組換率が上昇する。

「なるほど、交尾っていうのはストレスなのか。」
思わず、メンバーの間に「あぁぁ、」という声が漏れました。論理的には穴があります。ただ、1が「組換え率を上げるのはストレスである」と逆であることが示されれば、先輩の呟きもまったく偽なものではありません。