文人

ところで唐突にいうと、私は自分が理系人で文系的であるとなどは思わない。思ってはいけないと思っている。確かに私は本を読むのは好きだしそんなあたりで、ひとり盛りあがったりする。自分を文系という人たちに対してハッパをかけたいなと思うときもあって、だからそういう自分を文系だと任じる人たちには「思想のドラマトゥルギー」と「紙つぶて」でアシ切りをして、「千夜千冊はくだらないよ」といって喉もとを狙う。
理系人で文系的だなんて舐め合っている人たちでは頭上はるか見えないぐらいのところに本当の文人はいる。本を毎月何冊買おうが、どこで買おうが、そして部屋がどれだけ本で埋まっていようが、それは文人ではない。繰り返すと、文人というのはネ申かと見まごうほどに暴力的である。そしてそれはもちろん人生経験などというものではない。だから私はいつからか、文人の言葉に文句を挟まないようにしてきた。もし文人がなにか稚拙に感じられることを言ったとしても、黙った。私は文人の考えていることを理解していない。理解できると思うのは愚かしい。