白兵戦に持ち込む

生活保護を申請するため大阪市の福祉事務所を訪れた内縁の夫婦と、福祉事務所職員とのやりとりを録音したテープを、生活保護問題に取り組む弁護士が公開した。

まずは、録音GJである、といわざるをえません。
ここのところ、といっても年の単位ですが、はてなブックマーク界隈では「生活保護水際作戦」の文字通り犠牲となったひとたちが話題になっていたようです。タグも「格差」「ネオリベ」あるいは「美しい国」あたりがいっぱいついていたように思います。最たる例は北九州市であるということです。要するに、生活保護を申請しようとするひとに、そもそも申請書を渡さない、そして申請書を書いてきても受け取らないということがあるのだそうです。そうして、水際で申請できなかった人たちが実際に自殺した、という記事がいっぱいブックマークされているのでした。
録音というのは第一にゲンナマの証拠です。誰が何を言ったか、もう逃げられません。手続きの現場を録音するという行動が、禁じられているかどうか、私は関知していません。この証拠は、あとで法律のメカニズムにゆだねるなり、社会のメカニズムにゆだねるなりするうえで、重要な手がかりになってきます。いわゆる「社会運動」に参加するまえに、こうした水際の「白兵戦」を、まず高く評価したい。
ブックマークのコメントで私は、生活保護を受けようとする人に録音機材を貸しだすことが商売になるのではないかとつぶやきました。録音機材は、べらぼうに高価ではないとはいえ、生活に困窮する人たちは持っていないことが多いでしょう。だから、貸す。申請者は録音機材を持って窓口へ行く。今回の記事を見ると、録音機材を持っていくことで今後は多少なりとも建設的な対話が申請者と窓口の間で交わせる、そんな見通しが感じられました。レコーダーを貸す側は、生活保護を受けることができたときに、代金を払ってもらうことになるでしょう。