殺シ屋鬼司令II

世界一物騒な題名の育児ブログです。読書と研究について書いてきました。このあいだまで万年筆で書く快感にひたっていました。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

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ロジカルシンキングとクリティカルシンキング

さいきんtwitterあたりでお世話になっているFMないわー(@FMNAKA)さん*1が、ふらっとたちよった3省堂のビジネス書コーナーのひどさに憤って「ビジネスゴミ書籍読むぐらいならこれ読めぇい!!」と筆を執りました。
id:fmnaka2:20080407:1207586683
これを読んで私は自分の直観が正しかったことを確信したように思います。
「思考法」に関して、那珂さんが薦めている本は「問題解決プロフェッショナル」と「知的複眼思考法」です。前者を私は読んでいません。私がMECE(漏れなくダブりなく)を知ったのは考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則で、これも非常に有名な本です。いわゆる「ロジカルシンキング」です*2
で、読んだ後2年ぐらいボラーボラーと暮らしているんですが、二つ思うんですね。

  1. MECEって重要だなあと日々だんだん納得しつつ、
  2. 一方で、MECEだけでは担いきれない部分があるぞ

とも思うわけです。担いきれない部分というのが「クリティカルシンキング」なんやないか。それこそが那珂さんが二冊から一冊に絞り込みきれなかった理由なんやないか。それで、「知的複眼思考法」を同点に置いたんやないか。
「知的複眼思考法」も読んだのですが、私自身は「クリティカルシンキング」といって手応えを感じたのはこの本でした。

哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545))

哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545))

これは非常に良い本です。近年の新書では稀に見る密度で詰まっています。野矢茂樹「論理トレーニング」シリーズと近いというのが正しいでしょう。
ただ、「問題解決プロフェッショナル」に書いてあることなのかもしれませんが、読んでいない私には判断できないので、「問題……」を読もうと思います。それから、「知的複眼思考法」も単なるクリティカルシンキングの本ではなく、本を読み、考え、書くという各側面に光を当てていたように思います。私の買った「知的複眼思考法」は実家に置いてあるので、残念ながら手もとになく、確認できません。
前々からちょこちょこ書いていることですが、私が哲学者に対して望むことは、いま目の前の議論でスパゲッティのようにこんがらがっている概念を切り分け、整理してくれることです。これとこれは矛盾している、それは議論の前提条件に入っていないから今は考察しない、云々。時間だの、自分は何だの、意識が何だのといった話しはどうでもいいことです。
いい加減ですが、ロジカルシンキング分子生物学になぞらえるとクリティカルシンキングは細胞生物学にあてはまるような気がしました。
最後に、私が「読む」と「書く」についてあげるとするなら、これらでしょう。

私の「読む」

三色ボールペンで読む日本語 (角川文庫)

三色ボールペンで読む日本語 (角川文庫)

私の「書く」

「日本語の作文技術」なんですが、本はちょっと臭みが強すぎるしその臭みは不要なので、こちらを挙げておこうと思います。
「これ論」版日本語の作文技術

追記

知的複眼思考法を本屋さんで立ち読みなおしてみました。自分がこの本から非常に影響を受けているのに改めて気が付きました。「哲学思考トレーニング」より平易でかつ実行直結的で、まず一冊読むとしたら間違いなく「知的複眼思考法」と思いました。

*1:さっき見たらFM那珂に戻っていました。

*2:数学者マツオ君は「ありゃシステマチックシンキングっていうべきじゃないかな」と口を尖らせましたが、それはそれとして非常に的を射た意見だと思います。ただ、慣例としてロジカルシンキングという用法があり、普及しているという点で、私はここでロジカルシンキングという言葉を採用しております。