突然変異体生物を作る方法に、トランスポーゾンターッギングがある。
トランスポーゾンというのはいわゆる「利己的遺伝子」である。自分のいるゲノム中で自分の数を増やすことしか考えていない遺伝子である。そのゲノムを持つ生物にとっては(多くの場合)ゴミである。むしろ邪魔者でさえある。
このトランスポーゾンというのにもいろいろと種類があるわけだが、ゲノムから切り出されて同じゲノム中の別の位置に跳ぶのがある。で、この跳び方がちょっと疑問だった。同じゲノムでも、切り出された位置と、距離が近いところに跳びやすいみたいである。跳んでいく先の配列は(基本的に)ランダムだ。この「跳ぶ」という特徴を用いて遺伝子をぶち壊し、突然変異体生物ができる……できればいいなというのが分子遺伝学では期待される。
さて、なぜ近いところにしか跳ばないのか。
トランスポーゾンを扱っている先輩に聞いてみたが知らないという。それで考えてみた。頭の中にこの映像が浮かんだ。
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このへんは、高校生物でもやる。パフという。
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たぶんトランスポーゾンも例外ではないだろう。染色体が弛んでいないとトランスポーゾンが切り出されたり、跳んでまた別の配列に挿入されることができないのではないか。
なぜ近いところにトランスポーゾンが跳びやすいか、此所から考えられる。染色体のある部分領域が弛んでトランスポーゾンが切り出されるとき、次は切り出された配列がどこかに跳ばなくては行けない。たぶんトランスポーゾンの着地点も、チヂレ毛から弛んでないといけない。このとき、トランスポーゾンが元々組み込まれていた領域近傍の配列も、若干は弛んで活性化しているだろう。それで、トランスポーゾンは行き場なくて、切り出されたところからそう遠くない領域にブチ込まれる。こうして、トランスポーゾンは元々入っていたところに近い染色体領域に挿入されることになる。
これが本当かどうかは私は知らない。