跳べトランスポーゾン

突然変異体生物を作る方法に、トランスポーゾンターッギングがある。
トランスポーゾンというのはいわゆる「利己的遺伝子」である。自分のいるゲノム中で自分の数を増やすことしか考えていない遺伝子である。そのゲノムを持つ生物にとっては(多くの場合)ゴミである。むしろ邪魔者でさえある。
このトランスポーゾンというのにもいろいろと種類があるわけだが、ゲノムから切り出されて同じゲノム中の別の位置に跳ぶのがある。で、この跳び方がちょっと疑問だった。同じゲノムでも、切り出された位置と、距離が近いところに跳びやすいみたいである。跳んでいく先の配列は(基本的に)ランダムだ。この「跳ぶ」という特徴を用いて遺伝子をぶち壊し、突然変異体生物ができる……できればいいなというのが分子遺伝学では期待される。
さて、なぜ近いところにしか跳ばないのか。
トランスポーゾンを扱っている先輩に聞いてみたが知らないという。それで考えてみた。頭の中にこの映像が浮かんだ。

DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス)

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真核生物の染色体というのは「ヒストン」というタンパク質に巻き付けられ、そのうえ更にチヂレている。こういう状態は「不活性化」された状態で、細胞の生化学的活動が起きにくい。朝起こそうとしても布団に顔をうずめてしがみついたまま起きない子供のようなものだ。遺伝子が転写されて機能を有するためにも、自分自身が複製されるためにも、部分的に染色体がチヂレ毛的状態から弛む必要がある。
このへんは、高校生物でもやる。パフという。
自分でつくる参考書 ゼミノート生物1

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*1
たぶんトランスポーゾンも例外ではないだろう。染色体が弛んでいないとトランスポーゾンが切り出されたり、跳んでまた別の配列に挿入されることができないのではないか。
なぜ近いところにトランスポーゾンが跳びやすいか、此所から考えられる。染色体のある部分領域が弛んでトランスポーゾンが切り出されるとき、次は切り出された配列がどこかに跳ばなくては行けない。たぶんトランスポーゾンの着地点も、チヂレ毛から弛んでないといけない。このとき、トランスポーゾンが元々組み込まれていた領域近傍の配列も、若干は弛んで活性化しているだろう。それで、トランスポーゾンは行き場なくて、切り出されたところからそう遠くない領域にブチ込まれる。こうして、トランスポーゾンは元々入っていたところに近い染色体領域に挿入されることになる。
これが本当かどうかは私は知らない。

*1:問題を解くというよりは、穴埋めをPILOTのHI-TEC-Cの赤で答えを見ながらバーッと埋めていって、赤い下敷きでチェックしたりとかするイメージで読んでいる。なぜ大学院生の私が高校生物を勉強しているかというと、(生物学を専攻していながら)これまでにきっちりと高校生物の範囲を勉強したことがなかったからである。基本は大事である。基本の確認は本エントリのようにインスピレーションをかき立てたりもして、非常によろしい。