教養としての大学受験国語 (ちくま新書)で紹介され、盛名のみ高い大学受験「現代文」の"古典"である『新釈現代文』は、「復刊.com」でも多数の得票を集めながら、出版元倒産のため復刊の目処は一切立っていないと見える。
追記:出た。
- 作者: 高田瑞穂
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
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成田は不思議な街だった。参道にはうなぎ屋が並んでいた。ビッグマックを食べていなければ間違いなくうな重を食っていた。外人がいっぱい歩いていた。若いカップルも多かった。
ざっと目を通して満足した。
基本的なスタイルとしては入試の現代文の問題を並べて、その間に解説をはさんである。問題文自身にも文章の読み方や思想を解説させたりしている。教養としての大学受験国語 (ちくま新書)はこの「新釈現代文」のスタイルを踏襲した現代版である。
いくつか軽く問題を考えながら読んだ。高校時代と同じでやっぱり正解はそんなに出来ない。でも、当時と違い、外れても気にしなくなった。変な自信はある。
目次
- 読者へのことば -たった一つのこと-
- 第一章 予備
- 一.公的表現
- 「現代文とは、何等かの意味において現代の必要に答えた表現のことです。」
- 二.筆者の願い
- 一人でも多くの読者に(読まれること/理解されること/共感されること)
- 一.公的表現
- 第二章 前提
- 一.問題意識
- 「現代文がわからないという場合の多くは、実はあなたがたの問題意識が極めて希薄であるか、または全然欠如していることの告白であると私は断言いたします。ここで是非一つ、あなた方一人一人、御自分の心をのぞいて頂きたいものです。何がありますか。もしそこにあるものが、単に、見たい、聞きたい、食べたい、行きたい等の、総括して自分の感覚を満たそうという願いだけだったとしたら、そういう人に、入試現代文が難解であるのは、当たり前ではありませんか。そういう人は、無理をして、自分の精神年齢を引き上げなくてはなりません。無理をすることがどうしても必要です。例えば、仲間が口をそろえてむずかしいという本があったら、無理をして、それを読破して、いややさしいと言うのです。批評家など盛んにほめるが、あんな小説―映画でもよろしい―のどこが面白いのかさっぱり解らないと友だちが言ったら、それを能く読み、熱心に見て、いや確かに面白いと言うのです。こういう無理は、青春期においては少しもみにくいものでも、恥ずかしいことでもありません。青春時代は人間的教養を身につけなくてはならない時期です。Cultivationとはもと耕作し、育成することです。それは、関心する世界を開拓し、そこからさまざまな収穫を得ようとする態度なのです。」
- 「問題意識とは、物事を問題の対象として取り上げる意識のことでした。それを、今度は、意識された物事の側に移して言いますと、問題意識とはつまり知識のことになります。」p.32
- 前提となる知識:ヨーロッパ近代精神(人間主義humanism・合理主義rationalism・人格主義*1personalism)
- 二.内面的運動感覚
- 「論理の感覚」
- (読書とは)「他を読む」-「我れを読む」-「自他合一の境地」
- 一.問題意識
- 第三章 方法
- 一.たった一つのこと
- 「私の「たった一つのこと」とは、入試現代文という断片的な表現に関する方法なのです。そしてそれは、一言にして言えば「追跡」ということです。どこどこまでも筆者を追跡するという方法です。われわれの前に一個の文章が置かれ、その最初の文字が目に映った瞬間から、活発な問題意識と、生き生きした内面的運動感覚によって、筆者のことばを追跡することです。筆者は一体どんな問題を、どのように説くのであろうか。私は一体、「どこからどこへ」連れてゆかれるのであろうか。出発した以上、もうわれわれは恐れたり、引返したりはできません。どこへでも、どこまでも、筆者とともに行くほかありません。その文の最後の一行の終るところまで。そしてその文の終ったところで、無論われわれも立ち止まります。そして静かに、自分の位置を、自分の前後左右を、自分に近い過去と未来を見渡すのです。」p.59
- 二.追跡
- 三.停止
- 一.たった一つのこと
- 第四章 適用
- 一.何をきかれているか
- 二.どう答えるか
- 三.適用
- 後記にかえて