Kreimer's case、その後

Morristown, New Jerseyの図書館からホームレスRichard Kreimerが排除されたクライマー事件を取り上げたブログを読んで、奇妙な「何か」を感じた。
http://d.hatena.ne.jp/usoki/20080901#1220269405
魔界が口を開いているのではないか? という思いにとらわれて、Kreimer Library Morristownなどで検索してみた。
私が現時点で調べたことをまとめる。

  • Kreimerはその後も訴訟を繰り返している
    • プロ市民」というか、「プロホームレス」なのか。
  • Kreimer vs. Morristownの行方
    • LibraryLaw Blog: Homelessness & Libraries: A Knowing Analysisのコメントは、それほど文献を引いているわけではないが、非常にコンパクトにまとまっているので紹介したい。
    • "In that case, the patron won at the district court level, but the library won on the odor issue at the appellate level." 地方裁判所ではthe patron (Kreimer)は勝訴するも、においに関し控訴審で図書館が勝訴、か。
      • 奇妙な「何か」の理由はここにある。∵司法は日本では三審制だけれども基本的には控訴という有限回の再考チャンスがある。この有限回のチャンスを尽くすというのが議論をするということであるし、それをしないのは「理不尽」という。「セイキキ」ではこの裁判の行方について一切書かれておらず、奇妙に思ったのだ。「セイキキ」が読んでいる本にはおそらく書かれているのだろうが、それがブログには書かれていない。それはひょっとすると情報操作(いわゆる「工作」「釣り」)なのかもしれないし、あるいは単に「印象に残ったこと」だけを書いているのかもしれない。これについてはおそらくクライマー事件の概要(2) - 火薬と鋼の続編で論じられることを期待する。私は、http://neinast.home.att.net/cases/kreimer.htmの正当な読み方はわからない。
    • Las Vegasで1992年に別の事件があって、そっちでは或る合意が定められた。「図書館が利用者を退去させるには、弁護人の立ち会いが必要」それで弁護人のリストがしばらくはできていた。けども、そのうち、弁護人は電話しても出なくなっていった。それで弁護人リストからは名前が無くなって、実質的に「図書館を利用するためには風呂に入らないといけない」ことになってしまった。と。
      • ルールは形骸化していった。

追記 2008SEP03 22:38

「セイキキ」で引用された

法学に遊ぶ―落語から法哲学へ

法学に遊ぶ―落語から法哲学へ

は「Kreimer v. Morristown」の審議が進行中に執筆・出版されたものであったということを「セイキキ」の方よりご教示いただいた。出版は'92でありつつも脱稿は前年内であり、控訴審の出る前だったということを、本コメント欄に至り、知ることができた。つまり当該の文献は現状ではup to dateではなくout of dateであり、その後の経緯ならびに2000年代の米国の現状については本エントリ本文にて述べたことが参考になると思う。
最大の感謝とともに、非礼をお詫び申し上げます。

追記 2008SEP04 10:05

ソースとしては、以下の記事で明言されている。

このディレンマが表れたのが,1990年代初頭,ニュージャージー州モリスタウン図書館が定めた利用規則について争われた「クライマー事件」である。この事件では,主としてホームレス利用者を対象とした利用規則のあいまいさが問題となった。
ホームレスも図書館が提供する資料や情報にアクセスする権利をもっており,ホームレスであること自体は,問題利用者とされることを意味しない。ただし,ホームレスが不衛生な状態にあってその身体が悪臭を放つとか,居場所がない,入浴や洗濯の機会がないなどの事情(6)から,閲覧席やトイレの長時間にわたる占有がなされ,他の利用者や職員に対する不快な迷惑行為となることはありうるだろう。もっとも,例えば臭気について客観性のある基準を示すことは難しい。
「クライマー事件」では,当該利用規則の合法性について,一審と二審の判断は分かれた。一審は,公共図書館は,表現された思想を受け取る場所であるとし,公共図書館は,公園や道路などと同様,表現の自由のために開放された「伝統的なパブリックフォーラム(public forum)」にあたるとした。したがって図書館利用を制限する余地は少なく,当該利用規則を定めることは合衆国憲法およびニュージャージー州憲法に違反するとした。また,規則の文言はあいまいであり無効であるなどとした。
これに対して二審は,公共図書館には静謐で平穏な環境が不可欠であるとした。また,公共図書館は文字によるコミュニケーションという,限定された目的のための「限定的な(limited)パブリックフォーラム」であるとした。公共図書館の設置目的は,利用者が知識を獲得するのを助けることにあり,その目的や他の利用者の権利を妨げるような行為は許されない。したがって当該利用規則は有効であり適法であるとし,一審の判決を棄却した。
事件は和解によって一応の解決を見たが,かくして,問題利用者論には,セキュリティ対策と図書館へのアクセスを両立させる課題が課せられた。また,問題行動が他の利用者の知る権利を侵害する行為であることも明らかになった。
CA1479 - 動向レビュー:「問題利用者」論の動向 / 樋山千冬 | カレントアウェアネス・ポータル

気になるコメントもある。

b:id:shomotsubugyo はたして2審まで話がすすみますやら… それに… 2審の後のクライマー氏の話ってまだ日本語になってないよね(・∀・)
はてなブックマーク - クライマー事件の概要(2) - 火薬と鋼

二審については上記の通りであろうが、「2審の後」というのは、何度も何度も裁判を繰り返しているということだろうか。