殺シ屋鬼司令II

世界一物騒な題名の育児ブログです。読書と研究について書いてきました。このあいだまで万年筆で書く快感にひたっていました。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

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研究を志すこと

というのは最近である。話を聞くと、みんなかなり長い間科学者になりたいと思っていたようで恐縮である。
私なんて、高校を卒業するときまで、電子工学を専攻してエンジニアになるつもりでいた。大学入試の時もそうで、そもそも高校で生物を勉強していないし、その後勉強するつもりもなかった。
迷ったのは専攻を決める進学振り分け希望の時だった。電子工学を専攻する工学部の電気Bと、植物学を専攻する理学部の植物学コースに絞った。で、後者の方が、話のネタになるかな、と思った。それで植物に来た。
それから生物学を猛然と勉強することになった。功名心ではない。そうしないとさっぱりわからなかったからである。
するといくつも面白い話が、切り口が見えてきた。学部2年の時だが、MountのBioinformaticsが訳出された頃でもあり、こんな世界があるのかと、ちょっと自分の選択が良かったと思った。それから、自分も当時知らなかったことで、進化という視点が非常に刺激的であることだった。人間が日常知覚しうるタイムスパンを遙かに超えた現象を、掌の中に約めて眺める楽しさがあると思った。
結局なにをしたいか、どういうところで楽しいと思うかしかなかったらしい。私の趣味はいろいろあったが、一番のめり込んだのはゴミとなった電子機器の解体だ。あの手この手を使って古いテレビ、ビデオ、ラジカセを拾ってきてはバラバラにしてハンダを吸引して取り除き、部品を取り出す。それが楽しかった。そういう解体癖がある。スペースと労力の問題から、やらなくなっていった。
分子生物学はいうなればリバースエンジニアリングである。もちろんアーキテクトはいないからエンジニアリングというのは語弊がある。でも、巧妙の閾にまで達しているのは疑うべくもなく、それを解体してみたい、そして解体すべき現象は山と積まれている。
部品をばらす楽しみは個人的だ。でも、そこに進化というストーリイがくわわれば、他の人々にももっと楽しくなるはず。そういうことで進化生物学の研究を始めた。
研究を一生のわざとなす意志はさらに遅い。