殺シ屋鬼司令II

世界一物騒な題名の育児ブログです。読書と研究について書いてきました。このあいだまで万年筆で書く快感にひたっていました。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

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Ferris et al. "Cell, Inc.: A Realistic Simulation of Intracellular Dynamics"がScience誌に受理。私も入ってます

この論文の投稿に向けた最終調整のためにサンディエゴに滞在しておりました。
あらましを説明しますと、ひとつの会社を立ち上げまして(NIHからの資金供与)、その会社全体をひとつの大腸菌の細胞に、1,004±120人の社員ひとりひとりを分子に見立て、その会社が分裂=reproductionするかどうかということを検証したものです。実験期間は2007年秋から2009年夏までで、2008年末には既に会社が分裂していて、著者一同快哉を叫んでいました。
その会社の中身はどうなっていたかというと、いろいろな人がおり、くっつきあっている社員もいれば、ただ踊り狂っている社員もいて、確かに細胞のなかはそういうことになっているのかもしれないなと納得した次第です。
最初Nature誌に投稿したのですが、エディターから「これはサイエンスではない」と投稿から3時間で門前払いを食らい、次に投稿したScience誌はマイナーリビジョンを経て無事に受理されたという次第です。ちなみにCell誌を避けたのは「さすがにこれは細胞生物学ではないだろう」という判断からでした。
共同研究者であり師匠の一人であり友人でもある1st著者のF博士は55歳、1994年にCell、1997年にはPNAS、あとはGeneticsやPlant Cellクラスの論文を大量に(しかもどれも1st著者で)持っているのに「ラボを持つのは嫌だ」と言ってずっとポスドクで、そんなことを言っているうちに数年前に競争相手に論文を先に出されてしまい一度研究所をクビにされてしまったのですが、今回の論文はまさに捲土重来の趣があって大変目出度いとお祝いをしました。
(些か遅きに失した2012/02/09追記ですが、念の為。エイプリルフールです)