読みごたえのある一般向け科学書の条件

書店に行くと、一般向け*1科学書の文庫化が目白押しでした。

ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)

購入後、パラパラとめくってみましたが、これは後者、ハチの大量死の圧勝かもしれない。
前者は、いかにもアメリカノンフィクション的な、記述水増し感が漂っている。
ハチにせよ、先月の「ランド 世界を支配した研究所」にせよ、以前のゲーム理論にせよ……著者が「誰かの研究も含めて紹介している」のではなく「自ら問いを追究している」という点で、強い本になっていると思います。
ランド 世界を支配した研究所 (文春文庫)

ランド 世界を支配した研究所 (文春文庫)

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)

研究者自らが執筆しているからといって、その本自体が「自ら問いを追究している」ことにはならない。研究分野のいろいろなテーマをいろいろ拾って紹介するという本も多い。そういう本は、読んでもどうしても興奮を今ひとつ感じない。
著者が問いを追究しながら書いた本では、素材となる研究のひとつひとつに生命が吹き込まれ、興奮に満ちている。テーマに沿った話題を本を単に並べた本では、いかにその話題そのものが科学的に価値があろうが、どれだけキャッチーで専門をバックグラウンドにしないひとの目を引こうが、本としてはキラメキが落ちてしまう。読んでいてつまらない。

*1:専門知識を要求しない、ということ