九井諒子「ダンジョン飯」第一巻

面白かった。

RPGのように、戦士たちがチームを組んでダンジョンを攻略する時に、食事を現地調達したらどうなるのか、という、しごく真っ当な発想を真正面かつ斬新に展開している。

同じ作者の既刊よりもよほどいい印象を持った。

九井諒子作品の短篇集は折にふれて話題になっていた。そうして既刊の3冊も購入してあった。でも、1冊半読んだところで止まっていた。

あまりピンとこなかった。

それでよく考えてみた。要するに、この作家の短篇集は実に「もったいない」。

グルメ漫画に託けていえばストロベリーショートケーキのいちごをたべてホイップクリームだけ食べ、チョコレートケーキの上にのった板チョコとそこについてるチョコクリームだけを食べ、マロンケーキのクリだけ食べ……というスタイルになっている。

それが好きな人は居るだろうとは思う。

発想が豊富なのは疑いようもない。でもそれだけじゃなく、その発想の可能性を存分に描き切ってほしいという渇望もまた同時にあるので、短編でそれが欲求不満のままに留められてしまうことが残念で、それで自分としては「買い」判断が出来なかったんだと思う。

そこにきてこの『ダンジョン飯』は良い。発想の潤沢はそのままに、それをよく展開していてとてもおいしい漫画になっている。続刊でも是非その射程が十分に展開され切る(そして完結する)ことが待ち遠しい。