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この本の概要
2022年1月7日・日替わりセールで399円(紙の本は1099円。61%オフ)と超おトクです。終了しました。
鎌田浩毅博士は火山学者で、本職の火山学や地震学、地学にかんする啓蒙書を数多く書いています。それだけでなく、科学者の思考法や仕事術という本もたくさんあります。わたしもたくさん読みました。
2021年に京都大学を退職されたということで、最終講義を昨年ウェブ配信していたのを聞きました。
地学というのは、じつは日本では完全に必須の科学知識です。いうまでもありませんが、すでに10年以上たっているのであらためていうと、2011年に東日本大震災がおこりました。その影響は甚大で、長い間経済的な影響もおおきかった。
その地震や、あるいは火山という、日本列島でくらしているひとであればぜひとも学んでおく必要のある分野です。
それなのに、実は地学を高校で勉強するひとはごくわずかしかいません。それどころか、地学をおしえていない高校がおおいというのが現状です。「やりなおし」とありますが、そもそも勉強したことがないというひとが大半なんですね。じつはわたしは、高校で地学の授業を受けました。しかし、まじめに授業を受けていなかったので、この本で「やりなおし」たというわけです。
その重要な地学の知識を勉強することができます。
新書というコンパクトなサイズで、高校地学の内容のエッセンスを語っています。
節ごとにセンター試験の問題がでていて、地学についての知識の確認にもなります。そのあとで、平易な解説があります。
高校地学というのはそもそも、大学でいうと地質学(地球科学)・自然地理学・古生物学・惑星科学・天文学等々ものすごくひろい領域の知識をあつかいます。
だから、そういうひろい分野の基礎がこの本一冊でわかることになります。
この本をよむとなにがわかるか
どの分野についても丁寧に解説されているのですが、鎌田博士は火山学者なので、火山についての解説はとりわけ熱がこもっています。
これは実は非常に大事です。なぜなら、いまも日本はたくさんの活火山があるからです。
当然、富士山の噴火というリスクがつねにあります。そうした活火山にみちた日本列島でくらすリスクが、火山や地質のどういうしくみでおきるのかということがわかるようになります。
印象に残った部分
わたしは三重県出身なので、東南海地震のリスクというのが気になります。
鎌田博士によると現在、この東南海をふくむ、日本の西南部(静岡から紀伊半島沖、高知県)の東海・東南海・南海地震(じつは3つは別モノなのです)のリスクは高まっている。
それも、3つ同時に発生する「連動型地震」のシナリオが想定されています。
こうした連動型地震の起きる時期について、過去の経験則やシミュレーションの結果から、地震学者たちは2030年代には次の「南海トラフ巨大地震」が起きると予測しています。私自身も2040年までには確実に起きると考えていますので、この場でも強調しておきたいと思います。
このくだりはさすがに思いっきり強調されていてビビります。
常日頃から備える必要があることは常識ではありますが、そもそもそのシナリオをどうかんがえたらいいのかがわかります。
こんな人にオススメ
日本に暮らすかたで、地学を学んだことのないかたにはぜひこの本で地学に触れてみてください。
また、わたしは生物学の講義で古生物学に関してもかるく説明しますが、やはり、生物とその進化史をかんがえるうえで、地学はベースとして必須だなとおもいます。生物学をよりふかく理解したいひとにもすすめたいです。