目次
アトピーに先回りする
わたしはアトピー体質があります。
患部は大きくないが、体質ははっきりしている。
過去に皮膚科に通院して薬を処方してもらって、悪化しないように抑えました。
実感としても、アトピーというのはひどくなりだすとどんどんひどくなるものです。
これは実際のアトピーの機序をかんがえてもそうなのです。
だから、アトピー体質を子供がもっていた場合、ひどくなるまえに対処を行うことが大事だ、と夫婦で意見の一致をみていました。
専門医の一般向け解説書
妊娠期間中にTwitterで知った本があります。
これはアレルギー専門医・小児科医の堀向先生(ほむほむ先生)が書いた、子供をもつ親向けの解説書です。
そこに青鹿ユウ先生のマンガをまじえて平易に解説している。
マンガであることはとてもありがたいことで、余裕がなくても読めました。余裕がなくても読めることは戦闘力が求められる出産・育児において有効なのです。
マンガの部分はイメージがしやすくなります。
また、わたしのように、アトピー体質をもって親となることにたいして不安な気持ちをいだいているひとに対しても、心配をしないでいいように対策を講じられることをしっかり説明しているあたたかい本です。
医者のえらびかたとつきあいかたから、毎日のスキンケア、投薬、環境整備まで
マンガをまじえていますが、内容は、専門医がひとつひとつの論文を引用して説明していて信頼できます。
こうした姿勢は、治療法だけでなく、メカニズムに関する説明もていねいです。
アトピーというのはいうなれば「痒いから掻くともっと痒くなる」ものです。
ゲームでいえば「ハメ技」のループのようなものです。
生物学の用語でいうとポジティブフィードバックです。
要するにこのハメ技から抜け出さないといけない。
そのための戦略が「スキンケア・投薬・環境改善」の三本柱にあるのだ、ということがしっかり説明されています。
子供のアトピーとつきあうというのは、どうしても、親の負担がおおきくなります。
子供は自分の症状を説明できませんし、自分でスキンケアできるわけでもありません。
そして、ながい期間つきあっていく必要があるものです。
医者に全部任せるというわけにはいかない。
生活習慣から、親が手をかけていく必要があります。
つまり、親である自分たちと、患者である子供、そして専門家である医師との協調関係・コミュニケーションが、子供のアトピーとのつきあいかたの「核」になる。
そして、相互の信頼をベースにした協調関係・コミュニケーションをはぐくむうえで、この本はとてもたすかります。
たとえば、子供の症状を表現する形容詞がたとえば「中等症よりの重症」といわれると、親としてはやはりぎょっとしてしまうけれど、大事なのは重症かどうかではなく、正確に状態が把握できていることなのだ、と、マンガのなかでも表現されています。
そのときの、親の戸惑いや驚きといったものもマンガでは表現されているわけです。
こうした表現が医師と親の間のコミュニケーションを円滑にするためにたすかるとおもいました。
わが家での実践に活かす
ただ、そうしたことも読むだけではなく、やはり実践のなかでいかしていく必要があります。
そのためにもこの本はとてもいい。
この本をよむと、保湿やステロイドは、おもった以上にしっかりぬることがわかります。
ケチったり、心配だったりして、そうした薬剤をぬることにおよびごしになってしまうことはよくあるようです。
薬剤を容器から取るときに、「指をつっこまない」、「小さいスパチュラなどを使って雑菌の繁殖を避ける」ということもしっかり説明しています。
そうした「よくある落とし穴」が、ちゃんと先回りしてかいてあります。
また、シャワーであかちゃんのからだをどうあらうか、ということもマンガのなかでしっかりかいてあって、実践しています。
ギャン泣きするのですが。
そして、アトピーの治療の代名詞ともいえるステロイド塗り薬があります。
このステロイド(もともと副腎皮質ホルモンとして体内でも産生されている物質です)のつよさの表もかいてあり、治療の進行の目安になるでしょう。
ステロイド剤のつよさとその移行というのは、アトピー対処でだいじなかんがえかたで、本書でもかなりのページをさいてせつめいされています。
だいじなことは、「ステロイドはこわくない」というメッセージをていねいに説明していることです。
そしてそのためには、医師と保護者のコミュニケーションと信頼関係がなによりも大切です。
それから、アトピーは、アレルギーにつながることから、早めの対処が大切です。
これがなぜ大切なのかもこの本でわかりました。
というのは、食品などのアレルギーがアトピー体質の子供で増えるというのは、どうやら、食品を「口から食べる」ことそれ自体ではなく、むしろ「口からはいりそこねてアトピーなどの湿疹の部分に触れてしまったことで異物として認識される」というプロセスがはたらいているらしいことがわかります。
つまり、大事なのは「食品を湿疹に触れさせない」ことであるということです。
ここから、わが家では、毎食、子供に離乳食をあたえるときには、口の周りにワセリンをぬっています。