まとめ
はじめに
プリズナートレーニングは、ジム通いも特殊な器具もプロテインもいらない。最初のステップは冗談かとおもうぐらいかんたんでしたね。だから、はじめるハードルが低い。しかしそのプリズナートレーニングをはじめた初心者が、1ヶ月もすると出会う高い壁。
それがホリゾンタルプルです。
この記事をみているということは、そのあまりの困難さに戸惑ってたどりついたということなのではないか、と思うんですね。
まず、申し上げたい。あなたは正しい。
ホリゾンタルプルは難しい。
あなたにとってホリゾンタルプルが難しい課題だということは、あなたのせいではないです。
現代の人類は、そもそも、自分の体重を両腕「だけ」でもちあげるという活動をしていません。その半分、いや4分の1でもそうです。
重い荷物を持ちあげるとき、かならず、脚などの強大な筋肉の助けを無意識に借りてやります。
でも懸垂ではそういう筋肉の助けを借りることができないんです。腕と背中の筋肉(上腕二頭筋と広背筋)だけでやっていかなければいけない。
たとえばこの本は各種目でどういう筋肉が働くかを理解することができます。
そういうところからはじめるので、懸垂系種目の経験のない初心者は、ハードルの高さにとまどってしまう。
私もホリゾンタルプルに取り組んでいるあいだは、暇さえあれば目を皿のようにして情報を探しました。
わかったことは、ホリゾンタルプルは最初できないのがフツーだ、ということです。フツーというのは日本だけじゃなく、海外でもフツーにできません。安心してください。
じゃあ、どうするか?
『プリズナー・トレーニング』の文中に、いくつかの工夫が書いてあります。
その中でここでは、
- ステップの細分化
- ホリゾンタルプル「脳」を養う
- 体重を落とす
という点から説明します。
これらを、私の経験にてらして説明します。
ステップの細分化
あなたはステップ1「バーチカルプル」50レップを3セット、1ヶ月間(4週間)こなすことができてステップ2「ホリゾンタルプル」に意気揚揚と取り組み始めた。
そして、ただちに出鼻を挫かれましたね。
本に載っているとおりになにかの下にもぐりこんで、腕を曲げて自分の体幹をもちあげようとする。そして、腕が 90°ぐらいまで曲がったところで、そこからビクともしなくなり、力尽きる。
器具は、本では机を使っていましたが、私は公園の鉄棒を使っていました。都市部・住宅地であれば、公園がありますからね。
実際、懸垂(プルアップ)のステップ1とステップ2の間には広いギャップがあります。
『プリズナー・トレーニング』でも説明されているように、ステップ2で目標となる股関節の高さの鉄棒ではなく、もっと高め・胸の高さの鉄棒を使うわけです。
こうすると、体重が腕にかける力が減少します。それでも、バーチカルプルよりは腕に力がかかります。
つまり、バーの高さが胸のあたりならステップ1.2、みぞおちならステップ1.4、腹なら1.6, ……という中間段階の負荷に相当するということです。
また、すこし話は変わりますが、ひとつ注意したいことがあります。本の中で活躍しているモデルさんは白人です。つまり、「股関節の位置」というのは白人標準で、日本人の体型に換算するとたぶん腰のあたりにくるのではないかと思います。もちろんこれには個人差があるので、各自、本の写真と自分の写真を見比べて、どこを目指すべきか把握しましょう。
ホリゾンタルプル「脳」を養う
『プリズナー・トレーニング』のステップで停滞したときの技術も本のなかで説明してあります。
つまり、目標とするステップを「1レップだけ」実行するのを、間を空けて繰り返すというものです。
これも、じつは筋トレの技術としては比較的知られたものです。1レップしかやらないので負荷としてはちいさい、つまり筋肉の肥大や強化からはいったんはなれるんですが、それ以上の意義があるとされています。
筋トレにかぎらず人間のからだを継続的にうごかしているのは頭蓋骨におさめられた脳です。
ホリゾンタルプルであれば、バーをにぎり、体幹を緊張させて、上腕二頭筋と広背筋を収縮させて体幹をもちあげるといううごきを統括しているのは脳です。
この一連のうごきをスムーズにするために、1レップずつのエクササイズは役立つということです。
『科学的に正しい筋トレ 最強の教科書』には、イメージトレーニングですらも役に立つといいます。
やはり、ホリゾンタルプル「脳」を鍛えることは重要なんですね。
体重を落とす
正直、はっきりいってこれがいちばん効きました。
体重を落とす方法はあらためて書こうと思いますが、なぜ体重を落としたほうがいいのかというのは、プリズナートレーニングがステップに分かれていることとも密接に関連するので、よく理解しておいてほしいところです。
ひとことでいえば、体重がおもすぎるとステップのあいだのギャップがおおきくなりすぎるということです。
公園の鉄棒も、そんなに高さのバリエーションがあるわけではありません。
そして、ギャップがおおきくなればなるほど、筋肉・腱の故障もおきやすくなるから、敢えてちいさなステップからはじめているのがプリズナートレーニングです。
ホリゾンタルプルのあとも、そして別の種目シリーズも、全体重がかかってくるものがすくなくありません。
そうであるとすれば、どこかの時点できちんと体重を落としたほうが、今後の上達も速くなります。
また、さまざまな生活習慣病のリスクの軽減にも重要です。
わたしは年単位でプルアップはホリゾンタルプルだけやってました
3年以上、プルアップはホリゾンタルプルだけでした。
その過程でいくつかの公園を転々としました。
胸の高さのバーなら、この公園。
腰の高さなら、あの公園。
というふうに近所の公園事情を散歩がてら調べました。
結果どうなったかというと、写真をお見せしたいと思います。
学生に実験の概要を説明しているところを同僚に撮られた写真なのですが、自分でもちょっとびっくりする背筋だと思いました。
背筋は、大胸筋や上腕と比べて見えづらいです。
見えないと、なかなか伸びが実感できないかもしれません。
ですが、私は敢えて、ちゃんとやれば結果として出てくると主張したいです。
筋肉体操の先生のように、
という境地はいまだはるか彼方にあるのはたしかです。
それでも、毎週毎週つづけていく。
*1:オフ会である方が仰っていてすごく面白かったので引用させていただきます。