命名はひとに一生涯ついてまわる重要な要素だ。
しかも、命名の責任は「親」に責任がかかってくる。
さて、その命名のためのガイドラインのひとつに、画数判断というものがあるのはご存知のとおりだ。親から受け継ぐ姓と、親がつける名の、おのおのの画数の組み合わせから、あるひとの性格・キャラクターや、「運命」のようなものがわかる、というものだ。
当然、占いというものは、基本的には「錯覚」であるということは自分でもわかっている。
星占いであればバーナム効果だ。わたしは以前書いた理由で、時折星占いを見ているが。
今回の画数・姓名判断というものがどういう錯覚に分類されるかはわからない。でも、なんらかの錯覚に分類されるだろう。
去年、自分の子供が生まれることになり、われわれ夫婦も命名の責任を負うことになった。
まず、姓名・画数判断のような、根拠に乏しいことに基づいた命名はしない、という夫婦の方針は決まっていた。
ただ、ごく個人的な好奇心から「すこし見るだけなら見てみたいな……」と思った。
また、画数判断は、アルゴリズム的に決まる。文字の画数は決まっている。その組み合わせも、評価関数も、方程式として出てくるだろう。だから、無料の(ジョークに近い)サイトもあるのではないか、と思った。
はたして、画数判断もオンライン上には色々ある。検索して出てきた、無料でシンプルなものを試してみた。
ここに、子供の姓と、性別をいれる。
さまざまな画数の組み合わせで色々出てくる。画数の少ないものから、多いものまである。
画数が多くなってくると、だんだん人名らしからぬものが出てくる。
特に、名の2文字目以後はひっくるめて計算されるらしい。
1文字目10画・2文字目(以後)39画、という組み合わせは、随分よさそうな診断になっている。頭脳明晰で出世するし大成するらしい。うらやましい。
しかし、その名前というのをみると、
「時恵詩歌」「流怒瑠憤」
じぇしか、と、るどるふ、だろうか。
「桃乃缶詰」
おいしいけれども。
「流麗御前」
二つ名、だろうか。
「桑澤実花」
それ自体が氏名なのではないだろうか。
「家族円満」
たしかに大事なのだが。
そのように、ここまでは百歩譲ってわかるとしても、
「書道学院」
でダメだった。
子供が産まれました。
— 浜地 貴志 (@hamajit) 2020年12月26日
命名といえば画数判断ですが、オンライン上には色々あるようで、さまざまな画数の組み合わせで色々出てくるのですが、
「家族円満」
「時恵詩歌」
「桑澤実花」
「桃乃缶詰」
「流怒瑠憤」
「流麗御前」
というのはまだいいとしても
「書道学院」
でダメだった pic.twitter.com/zzdFWWpPQy
わたしはしばし、書道学院、と名付けられたまだ生まれぬわが子の行く末を想像し、0.5秒でやめた。
もしそろばん教室をひらくことになったら、大変ではないか、と。
おそらく、自然言語処理的なかたちで収集した単語をアルゴリズムに従ってスコア化してリストを出力しているのだと思う。
どうやらこのサイトは、かなり掲示板等では有名なサイトらしい。
フォロワーの方からも、家族円満という概念自体はよいことだが、いざそれを名前にしてしまうと、家族円満からかえって遠ざかってしまうパラドックス状況に陥るだろうという分析を賜った。
蓋し正鵠を射るものであろう。