殺シ屋鬼司令II

世界一物騒な題名の育児ブログです。読書と研究について書いてきました。このあいだまで万年筆で書く快感にひたっていました。当ブログでは、Amazonアフィリエイトに参加してリンクを貼っています。

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バクテリア由来遺伝子aphHがVolvoxを救う

  • The bacterial paromomycin resistance gene, aphH, as a dominant selectable marker in Volvox carteri.
    • Jakobiak et al. 2004 Protist

前回の論文渉猟に先立つ先行研究である。これにもまた先行研究 (Sizova et al. 2001 Gene, 精読中) がある。これら三報をもってワンセットと考えるのが適当だろう。
クラミドモナスにおける先行研究で高効率選択マーカーとして開発された、抗生物質耐性遺伝子であるaphH (a.k.a. aphVIII) は、近縁な別種の生物であるボルボックスでも有効なのか。著者らは、aphHの5'-/3'-末端に、それぞれ5'-hsp70A+5'-rbcS, 3'-rbcSを人工的に連結した合成遺伝子を製作した。この遺伝子として機能するDNA断片を、金の微細粒子につけ、ボルボックス生殖細胞へと、空気銃(パーティクル・ガン)を使って撃ち込んだ(比喩でなく、正しくこの文字を使う)。撃ち込まれたDNA断片は、うまくいった細胞では、核ゲノムDNAのランダムな位置に組み込まれた。
ボルボックスは、通常、抗生物質paromomycinがあると死ぬ。しかし、DNA断片を撃ち込まれた細胞の子孫は、aphH遺伝子が機能し、paromomycin耐性を獲得しているため、死なない。aphH断片を撃ち込む際、別のDNA断片(例えば、光るタンパク質であるGFP)も一緒に混ぜておくと、三割程度の率で同様にゲノムDNAに組み込まれる。つまり、理論的には、お好みの遺伝子を、ボルボックスにぶち込むことができるわけである。
読んだ感じでは、誤植が2つ見られた。thatが無意味に2つ並んでいた部分と、hydrolyze(加水分解する)がhyrolyzeになっていたところである。