コンサル日記

後輩のミクシィ日記で「サンクコスト時間術」が紹介されていて興味を持った。
「サンクコスト」云々という内容というより、著者が自らの経歴、大手コンサルティングファームを去らなければならなかったことを、あとがきで率直に吐露しているというのである。どちらかというと、ほんとうのテーマよりは著者そのものに興味を持ったということになる。野次馬根性である。
著者、斎藤広達の著作にどのようなものがあるか検索した。最近「コンサル日記」というのが出版されていた。小説仕立てのようだ。実体験も丸めてストーリーにするということはよくあるかな、これにいろいろ書いてあるかな、と思って購入した。

コンサル日記

コンサル日記

妙に文学的だった。…というのも変だけれど、経歴を見ると、大学時代から作家を目指して三田文学で活動していたとある。なるほどと思った。5話の連作?というのか、各話ごとに、コンサルティング業務と、プライベートが重なりながら進行していく。
おもしろい文章の要件として、私は前から「レイヤー」ということを考えている。前もどこかで書いたかもしれない。まったく別の要素からなる全体が、見方を変えればぴったりと重なる。レイヤーは多ければ多いほど面白い。当然、それは多く面白い文章ほど一見してはわかりにくくなる。壁のシミが突如、人の顔として見えるような感覚だ。
斎藤氏はよく訓練されているだけあって、文章が多層に構成されている。しかも、毎度のオチがかなり拍子抜けするものになっており、ビジネスは実際はこんなに幾重にもウラがあるものなのだろうと思わせる。そして最後には、きっちりと、「何もなかった」ことが示され、事件が解消する。主役の心にはきっちりとその影が焼き付く。