Studyplusで勉強とアウトプットをブーストする

Studyplusという学習支援ウェブサービスを、去年の後半から使っている。

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資格試験や入学試験などの目標を打ち立てたり、参考書・問題集を登録して、取り組んだ分量や時間を記録することで可視化し、モチベーションを維持しようというサービスだ。

基本的には中高生が受験や学期の学習に用いている例が多い。
いわば「勉強用のSNS」だ。

かつての自分であれば、きっと

東京大学合格
TOEIC900達成

という目標を掲げて、

大学入試英語頻出問題総演習 (即戦ゼミ) 最新六訂版
「チャート式」
難問題の系統とその解き方物理

あるいは

英単語・熟語ダイアローグ 1800 三訂版

といった本を登録して、どれだけ取り組んだかを嬉々として記録していただろう。

大学受験は20年近く前に終わってしまったわけだが、その時でさえ、受験関連の個人ウェブサイトや掲示板にアクセスしていた。
刺激を受けたり、理解を深めたりするのに役立った。それだけでなく、アクセスしていたウェブサイトの管理人そのひとと、大学入学後に出会う(同じクラスだった)ということさえあった。

そういうわたし自身の経験とおなじことがきっとここで起きているのだろう……とStudyPlusの雰囲気を見て思った。

一方で、いまのわたしにはわたしの為すことがある。

入学試験を終えても勉学は終わらない。語学への興味はやはり持ち続けている。
行動に移せない期間が多いのは確かで、それが勉強が達成できない理由の根幹である。
また、いくつかの資格試験も気になっているので、そうしたことも時間があれば……と思いながら、日々の業務以外の余裕がどうも、ない。関係のない勉強をする暇があるなら、少しでも研究を進めろという内心の切迫がある。ただ、そうやって研究は進むものではないから、結果として、研究は進むわけではない、勉強はやらない、というままに年月が過ぎてしまう。

自分の時間利用をもっとうまくしたい。

本は読みたい。
勉強はしたい。
いろいろなことについて書きたい。
それでいて、研究(キャリア)はしっかり進めたい。

誰しもが思うことではないだろうか。

時間管理問題におけるメジャーな対策として「見える化」や「細切れ時間の活用」があることもまた周知だ。
そして、こういった方法論のために、スタディプラスは絶好のプラットフォームになる、という思いが日増しに募ってきた。

最初は英単語暗記の記録をしばらくやっていた。だがこの1ヶ月ほど、スキマ時間の読書や執筆へのコミットメント可視化にスタディプラスを適用してみた。

読書はとても簡単だ。

通勤電車に乗る。
スタディプラスで、読んでいる本の記録を開始し、ストップウォッチを開始する。
読書に没頭する。
到着駅の直前でストップウォッチを止め、進んだページを記載する。


この繰り返しである。コマ切れ時間だ。一回の読書時間は短い。せいぜい30-40分だ。しかし往復で1時間から1時間半になる。一週間で6時間ほどになる。こうして、なんとなく積ん読になった本が次々に読めるようになった。コマ切れ時間の読書には、専門の系統立った読書だけでなく、たゆたう興味が赴くままの雑書濫読もお似合いだ。

読書だけではない。執筆もできる。ストップウォッチを走らせている間に、一心不乱に書く。

スタディプラスの勉強記録では、勉強の「単位」を変更し、好きに登録することができる。
これがいい。

執筆の際は、日本語なら文字数で「字」を単位とするし、英語だったら「語」をワードカウントして書いていける。
自分の場合は出先ではiPhoneiPadで、Pagesアプリを使うことで語数をカウントしながら執筆することができる。

すこし気取っていうなら「study」の意味づけを、変えたのだ。
インプットに偏った勉強としてのstudyから、イン・アウト両面を包括する「書斎」へのコミットとしてのstudyへ。

「習慣をつくる」ことの力は、もはや強調しすぎることはないぐらい、周知のことになっている。
研究業界では『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)』が、「なぜ論文が書けないか」「論文を書くダメな方法は何か」という考察を心理学の専門のバックグラウンドから明解に説き起こされている。
変な話、この本は私の周りの研究者連中がこぞって読んでいる。

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)


ではそれを誰しもが出来るかというと、出来ていないのではないか。

習慣を実行するうえで重要なのは、意志ではなく仕組みを設計することである。
さらにそのときに、達成に対する報酬を実感できると強い。

時折言及されるのは、ソシャゲのデイリークエストやログインボーナスといった仕組みだ。心理学的に報酬系に働きかけて、アクセスさせる、アクセスしたくなるよう働きかける仕組みである。
最初にどこで読んだかさえ思い出せないし、実際、無数のひとがあらゆるところで書いているのだと思う。
エストが「達成!」と表示されて、ピコーン!という音がなるだけで、報酬として解釈してしまう仕組みがある。
これは形のない捉えどころのない行為というものを見える化することそのものである。

スタディプラスの達成報告は、音は出ない(というか音を出してないからわからない)けれども、「やったね GOOD JOB!」というテロップが出てくる。
いや、ドラクエ・FFのレベルアップ音のようなファンファーレより重要なのが、何か目に見える数字が蓄積されることだろう。
ソシャゲの任務やログインボーナスでは、アイテムや資源が増加する。単なる達成音ではない。

勉強において、本当に蓄積したいものは、知識や能力だ。それは間違いない。
でも知識も能力も、蓄積はなかなか目に見えない。
だから、かわりになる指標を使うことになる。
それが知的活動時間の長さと、そのページ数や単語数のような取り組みの量だ。

指標は、直接可視化できない存在の動きを捉えやすくしてくれる。
訓練をするためには時間がかかる。
たくさん勉強したという「数字」が積み重なっていくと、ひとはそれを報酬だとみなすのではないだろうか。

それはフィクションだろうか?
フィクションでもかまわないとおもう。
実際の勉強をしっかり行なっているなら、それを比喩的に表現して、一種の娯楽・楽しみとして享受することを誰がとがめられようか?

スタディプラスを使う上での問題点でこちらから申し上げておきたいことがひとつある。

上で、勉強の「単位」を自由に設定することができると書いた。
もうお分かりかもしれない。

単位の数値が違いすぎるのだ。
例えば、500字の文章を読む労力と、書く労力は、非対称だ。
だからもしもこの字数を「読む」ときと「書く」ときで同じ単位として採用するなら、知的活動を見積もる数字としてはややアンバランスになってしまうということになる。
この事実は私に、以下のグラフを思い起こさせる、ということを書いて、オチとして締めくくりたい。