もう何度目であるかわからないが、梅棹忠夫の『知的生産の技術』を読み直していた。
- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/07/21
- メディア: 新書
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以上のようにわけると、知的生産のために必要な部分空間は、四種類となる。仕事場と、「事務所」と、資料庫と、材料置き場である。こういうと、知的生産のためにはたいへんひろい空間が必要なようにおもわれるかもしれないが、そうではない。問題は、ひろさではなくて、空間の機能分化である。一室きりの書斎のなかだって、これだけの区別をつくりだすことはできる。仕事のための机と、事務のための机と、本棚およびオープン・ファイルの棚と、あとは材料のおき場をかんがえればよい。机は、仕事用のと事務用のと、できるだけはなして、ふたつあったほうがいいというのが、いまのわたしの意見である。
あらためてこの一文におおきく啓発された。
わたしは、有名な京大型カードと同様の機能をコンピュータとりわけEvernoteに負うているから、そのように読み替えていくことになる。
すると「資料庫」と「材料置き場」はしぜんにその存在感をひそめる。資料庫であり材料としてのEvernoteはプレミアムで、月々1GBなので、事実上無限にある。だからかんがえなくてもよいだろう。
仕事場、というのが「仕事」とはなにかをかんがえはじめるとやや冗長の印象をおぼえるから、「アトリエ」とここではいいかえたい。
アトリエと事務所(事務室)でまっさきにおもいだしたのは、「緊急度」と、生涯目標というか幸福にたいする貢献ではかったときの「重要度」の2x2マトリックス http://www.ashi-tano.jp/?p=2067 であった。7つの習慣、か。
要するに、重要度が高く、緊急度は高くはない、腰を据えた「備え」をおこなうのがアトリエだ。
重要度は低くて本質的にどうでもいいが緊急度は高い「穀潰し」を処理するのが事務室だとかんがえるとおさまりがよさそうである。
デジタルでどう実現するかということをたわむれにかんがえてみよう。まず、アトリエと事務室に該当するコンピュータを2つわけて使うということができる。しかし多くの場合これは難しいだろう。やってもいいとは思うが。コンピュータのアカウントを別に作るのも、効果的かもしれない。
アプリケーション別にかんがえてもいい。アトリエは、ワードにせよOmmWriterにせよ各種のエディタにせよ、あるいはPhotoshopやIllustratorにせよ、それぞれのミッションに応じて、あるだろう。Gmailなどはもっぱら事務室だろうか。Excelは両方ともありそうだ。
ともあれ、梅棹が強調しているように、機能分化としての両者をはっきりわけて意識をきりかえる、そのためのトリガーをめいめいに構築するということが重要なのだろう。