米国駐在中に、食事で気がついたのは「フレッシュ」というイメージがどうも私が思っていたものと違うらしいことである。
日本で日本語で「フレッシュ」といえば、新鮮なサラダがシャキシャキと水もしたたって、取り立ての野菜をいっぱい食べられるという、そんな雰囲気がある。
でも英語では、なまのものではなくても、極端な話、ローストした肉にも「フレッシュ」ということばが登場したように思う。決して焼き具合が「レア」だということではないのだ。
研究室メンバーのポットラックパーティには、しばしば私は自分が家で手で打った「うどん」を持っていった。
それは喜ばれたのだが、お世辞かもしれないが、「このヌードルはいいじゃないか、フレッシュだ」と言われた。
もちろん、茹でていくのであるから、生というわけではない。
だんだん住んでいるうちに出来てきたイメージというのは、言うなれば「素材の味が生きている」というものだった。
Shorter OEDを引くと中英語の語義として出てくる。
3. Retaining its original qualities, not deteriorated or changed by lapse of time; (of food) not stale or musty; (of a flower, memory, etc.) not faded; bright (in colour); clear; (of the complexion etc.) unsullied, looking young or healthy; (of clothing) clean. me.
だいたいわたしのイメージどおりだった。
イギリスにカンファレンスで訪れた際も、ディナーのメインディッシュに出てきた肉が、どうも味付けが足りないように思えてしまった。
たとえば、わたしの郷里では、特に年配のひとは、「おいしくない」というのを「アジナイ(味無い)」といったりしたのを、その場で、思い出したのである。
たんに、愉しむ焦点が、ちがっている。
よく味わってみればこのイギリスの料理は、フレッシュな、つまり素材のもつ風合いであったり、食感であったりということがあって、味わいは確かにあった。
フレッシュ、という語にはそのような解釈もできると思った。