外山滋比古『知的生活習慣』(ちくま新書)

『思考の整理学』の著者の、最近の新書だ。
「思考の〜」と似たようなモチーフで、毒にも薬にもならないエッセイだな、と思って読み始めた。もっとも、やや毒寄りとも思えなくもない。

そんな中、ふとメモ術のところで目が留まった。

曰く、メモは、一時集積場(インボックス)としてのノートと、それとは別個に、2系統の「マスター・ノート」を準備する。つまり、3系統が平行するかたちになる。

マスター・ノートは、インボックスからめぼしい記述を抜き出して整理し、再考する。

マスター・ノートは、大テーマの系統と、細々したテーマおよび喫緊の課題を扱う系統の2系統を準備する。

新しいアイディアは、メモを朝書く。

メモには通し番号を振る。

ざっとこういった話が続くのだが、私が目を見開かざるをえなかったのはそれに続く記述だった。

長い間に、いつしか、多くなり、大テーマ用ノートが四十三冊、小テーマ関係が七十三冊目である。それぞれ通しのナンバーがふってあって、前者は四四〇〇をこえ、後者は、これを書いている時点で、一五三六三になっている。

これは真に驚くべき数字だと感じた。だからこそ毒にも薬にもならないというような文章が錬成できる。普段から、溜めている。しかもそれを繰り返し繰り返し考えようとする。
これを見習うにはどうしたらいいものか、と思う。